学園長のひとり言

      平成12年9月28日                


「どんな高校でもいいんです。例え素行が悪くて評判が悪い学校でもいいんです。学校に入ってから悪いことをして退学になってもいいんです。それはそれであきらめがつきますから。親として、親戚にもどこにも自分の周りにもいない“高校浪人”というのが許せないんです。」

そろそろ退社しようと帰宅準備にかかった夜8時、上田学園にかかった電話の主はそうヒステリックに喋り捲った。

高校に行かせてくれるなら上田学園に入学させたいと言う母親の言葉に、元気印しか取り柄のない私も、ずっしりと重い鉛のチョッキを 無理やり着せられたように、気持ちが硬直していくのをとめることが出来なかった。

親って何んなのだろう?

どんなに子供達を思い、心から可愛いと思っても、親の愛情にはかなわないと日ごろ感じている私達教師。だから、「親を理解してあげて!」と言い続けている。でも、思わず会ったこともない高校浪人生に「早く家を出なさい!、1人で生きて行きなさい!」と叫びたくなった。

本当に親って何んなのだろう?

どうしようもなく萎えてしまった心を奮い立たせたくてかけたJanis JoplinのCD。彼女の歌声が、まるで高校浪人生の悲鳴のように聞こえた。