学園長のひとり言

平成12年12月30日

一年間ありがとうございました。
今年も今日で終わり。本当に一年間色々なことがありました。

上田学園を始めるとき、確かに学園の対象となる子供達は現在、色々な理由で学校を拒否したり、中退したりしている。しかし、遅かれ早かれ人間社会の一員として生活しなければいけない子供達なので、一般社会から隔離しない。むしろ一般社会に1日も早く戻らせる。さもないと、動物園の檻の中でしか生きられない、人間に飼育された野生動物状態になってしまう。大切な子供達をそんな状況には絶対追い込まない。その為に、学ぶ場所はこの狭い事務所から始まって世界中のあらゆるところ。教師陣を始め、色々な人達に出入りしてもらい、色々な刺激を与えてもらう。それによって自分の頭でしっかり考える子供にしたいと願った。

お蔭様で、21世紀には自分の人生を楽しく生きていく方法を見つけ出すだろうと予感されるように、子供達が先生達を踏み台にして確実に自分の道を見つけ、自分のテンポで前進を始めだした。そして、一度も説明をしなかったのに子供達が、12月末に受けたインタビューの中で「上田学園は社会から隔離されていないし、むしろ色々な人の出入りが沢山あるので、2・3年前には想像も出来なかったように、多くの人との交流が出来、その中で反省させられたり、考えさせられる。それがこの学園の一番いいところだと思う。」と、答えていた。

人が人として過ごすのは、どこでも出来る。でも、人が人間として生きることは、何処ででも出来るものではない。人間として存在していることを知らしめてくれる相手の存在が必要だ。自分の存在は相手が在ってはじめて成立するものだからだ。それだけに自分のことを、どれだけ相手にアピール出来るか、どれだけ理解してもらえるかで、楽しい人生か苦しい人生かが決まるような気がする。その為に、どうやって“人”として考え、理解し生活しているかが、重要なポイントになるように思える。

21世紀の一年目、上田学園の子供達には今以上に“個“としての“人”(自分)をしっかり、確立してもらいたいと願っている。それが出来ると、人間として存在することのテクニックは表現力の問題だけだ。いかに相手を説得したり、感動させたり、納得させたりするかは、それをする為の“道具”。教育という名の“道具”の使い方一つで決まる。 上田学園の先生方はその道具の使い方を喜んで伝授する。その道具をどのように使うかは、子供達が決めるもの。そのために応援する。その為に今まで通り、いい事はいい、悪い事は悪い。納得出来ない事は、納得出来ない。間違ったら“ゴメンナサイ”と言うつもりだ。

上田学園もまだまだ問題は山積みされている。でも、21世紀も問題を一つ一つ解決しながら、先生方と楽しんでやっていくつもりだ。「先生すごいですよね。2・3年前まで昼夜逆転し、何も考えずただただ生きていたでけの子供達の顔が輝き出し、自分で考えて歩こうとするんだから。そんな彼等を見ていられる私達、どんな問題があっても、幸せ者ですよね。」と、考え深く今年の感想を言ってくれた学園の先生の言葉に代表されるように、私達は子供達と居られることに感謝しながら、来年も私達の生き様を子供達にぶつけて行くつもりだ。そして、一日も早く上田学園を卒業させ次のステップを踏ませる。「子供達、覚悟してね!」

上田学園のホームページを訪ねて下さる皆様、どうぞ21世紀も宜しくお願い致します。
そして、 2001年が皆様にとって楽しい年になりますよう、心からお祈り申し上げます。