学園長のひとり言

(毎週月曜日更新)
いつも遅れてすみません
平成13年8月7日


たがか時間、されど時間

毎日毎日、時間が飛ぶように去っていく。
しかし毎日を不登校し、1日の大部分を寝て過すことの多い彼らにとっては、時間はあってもないようなもの、なくてもいいようなものなのだ。

それでも、時間に全く関係なく生きている子供達にとっても、「時間」はしっかり過ぎて行く。年齢もしっかり過ぎて行く。

学校に行っている子供達。でも時間は「つぶすもの」と思っている。
「つまんね〜な〜!」と言いながら、何か面白いことだけをして時間をつぶそうとしている。だが、つまらないこと、嫌なことをやりたがらない彼らには、面白いものが何だか分からない。分からないから自分で面白いもの、楽しいものを作り出す時間を省いて、無駄な時間を過ごしていることにも気が付かない。

彼らにとっての救世主。
"手っ取り早い暇のつぶし方"として携帯電話が存在し、「まき子、元気?何にしてんの?あ、そう。じゃ、またね」、「豊、元気?今何してんの?私、電車の中。またメールする。じゃね〜」。と良い友達関係を築くのに必要な「時間」が省略されて出来た「メル友」リスト順に、全く会話として成立しない会話が、同じ秒数と同じフレーズで、繰り返されて行く。「お金は循環させなければ景気は回復しない」という鉄則を大人以上にきっちり守りながら。

ただ時間をつぶす目的のために、電波を通して交差する意味のない会話。自分が学校に行かないこと、行けないことを誰かの所為にしながら、時間だけが過ぎて行く。

勿体無い、勿体ない。絶対勿体無い。今日学校に来なかったことで、いっぱい損をしている。今日、社会と繋がらなかったことで、すごい損をしている。今日自分の頭で考えなかったことで大きな被害を被っている。それも気が付かないうちに。

今日しか起きなかったかも知れない「先生や他の人の素敵な出来事」を、見損ない、
今日しか出会えなかったかも知れない「見習いたい人達」と、出会い損ない、
今日しか聞けないかも知れない「面白い話」を聞き損ない、
今日しか感じることが出来なかったかも知れない「何かを」感じ損ない、
一生涯で今日しかない「今日」という時間が、無駄に過ぎてしまった。
ただ、何となく学校に行きたくないからという理由で。ただ何となく人と会いたくないからという理由で大損をしている。

もし、苦しんでしるなら頑張らなくていい。でも努力はして欲しい。例え「対人恐怖症」と言われても。

君は君一人で生きているのではない。君は、君と単に対面している「反対側の人」が怖いだけなのだ。だから、君の側にいる私達の中で、心を癒し、恐怖を取り除いたらいい。たくさんの楽しい出会いや面白い経験をする中で。

自分の決められた時間の中で、人に出来ないこと、自分にしか出来ない何かを自分のために探し、それを大切に育んで欲しい。いつか、大切に育んできたことに「満足」し、満足出来る自分に「感謝」出来るように。

人間が生きていける時間は決まっている。決まっているから時間が大切なのだ。その中に「親の時間」も含まれている。その為に、子供達にしっかり「時間の大切さ」を教えたい。子供達を取り巻く大人達が、毎日の「時間の使い方」をしっかり見せることで、無意識という意識に、感じて学ばせたい。

感じて学ばせる大人の代表選手、重要選手は、子供が一番必要としている「親」だ。

子供のことで一番悩み、一番苦労している親達は子供達の問題が大きくなると、とたんに「時間がないんです!」と連呼する。「忙しいんです!」と連呼する。

「忙しい!」と言わないで。「時間がない!」と言わないで。
ほんの少し、心を砕くことを疎かにしたために、ほんの少し、子供に時間を省くことを怠ったために、それが大きな社会問題の原因になり、子供達ばりではなく、他人までも巻き込んでしまう。

子供の時間は今しかない。今の時間内に子供の問題としっかり取り組まないと、大人の時間になった子供達の問題は、化け物のような大きな問題になり、親や社会を悩ませる。

彼らの今日は彼らの人生の中で今日しかない。彼らの今日の苦しみは、彼らの将来に延々と続いて行ってしまう。

もう一度しっかり考えたい。ほんの小さな時間の積み重ねが、彼らの人生の土台を作っていることを。