●学園長のひとり言  


平成14年7月9日

*(毎週月曜日更新)

自分の人生は自分の手で!

私の引き出しには、色々な方からのお手紙が大切にしまってある。楽しい思い出。悲しい思い出。嬉しい思い出。気がかりな思い出。色々な手紙だ。その手紙のどれもが大切で、どれもが私の心に「頑張らなくちゃ!」「反省しなくちゃ!」「謙虚にしなくちゃ!」「もっと学ばなければ!」と声をかけてくれる。

こんな手紙の中に、「無事大学を卒業しました」という書き出しで無事に大学を卒業したことを知らせてくれた素敵に"若者”をしている男性の手紙がある。

彼とは、偶然村上龍さんのインタビューを受けたのがきっかけで、村上龍著「希望の国のエクソダス」の公式ホームページを上田学園の学生達がお手伝いさせて頂くことになり、そのページの担当者として出会った。

当時法政大学の3年生だった彼は、何にでも興味を持ち、調べ、分析しチャレンジする彼の好奇心の旺盛さ。そんな彼を象徴するようにギラギラと輝いていた彼の目。それはまさに一本筋の通った"野武士"を連想させる素敵な学生だった。そして"村上龍の仕事"の手伝いをするようになった、興味あるいきさつや、その逞しさに本気で「上田学園の先生になって、なんでも子供達に教えて欲しい!」と思わせてくれた面白い学生だった。

学生達も、忙しそうに上田学園にやってきて、皆と楽しそうに話をし、ホームページに載せる原稿の指示を出し、金融に関して全くの素人の彼が、ホームページに原稿を書かなければいけないという理由で、色々な専門家を訪ねてゼロから教えを請っているとかで「頭が狂いそうです。」と言いながら忙しそうに帰って行く彼の"存在感と行動力"に圧倒されているようだった。そんな学生達の様子に私は「今は分らなくてもいい。いつか上田学園に小林さんという人が来ていて、すごかった。口先だけでなく実際に行動していたもんな。」と思い出し、「俺も行動しなきゃ。」と思ってくれたらいいと願った。

そして、ホームページの終了後も「近くに来ましたので寄りました。」とか「みんな元気!」とか、「僕のガールフレンドです。」とか、度々上田学園に顔を出して下さり、楽しい交流が続いていた。そして大学4年になった彼から、珍しく真面目な電話が入った「ちょっと、ご相談があるんですが・・・」と。

"こね"も"つて"もないが、一番興味のある「石原慎太郎氏」の元で仕事をしてみたいという"仕事"についての相談だった。

彼が作家であり、政治家でもある「石原慎太郎氏」の元で仕事をするのは、大賛成だった。何しろ彼はそこらへんの大学生にはない行動力と、存在感。それとなんだか分らない"魅力"と何でも"現実化"するパワーがあるからだ。

「それは大賛成だわ。駄目でもともと、アタックしたら!」と私は応援した。"石原慎太郎氏"の仕事が例え現実にならなくても、「駄目だ!」と分るまでのプロセスから何かを絶対学ぶ人だし、理屈ではなく「彼なら成功する」という確信みたいな思いがあった。

"こね"も"つて"も"閥"もない彼の凄さはここからだ。「絶対石原さんのところで仕事をする!」と決めた彼は、まず作家石原慎太郎の本を徹底的に読み直した。その次に「政治家」としての石原慎太郎を調べながら、「都知事石原慎太郎」の追っかけをした。例えば年寄りに混じって、防災の日の"防災訓練"に参加したりと、彼の行くところ全部追っかけて彼が何を言うか聞いた。そして、自分が「石原慎太郎」のために何が出来るかを徹底的に調べ、そして見つけた。政治家の殆どがもっているホームページが石原慎太郎氏にはないことを。

それから彼は彼の考える「石原真太郎のホームページ」を作成し始めると同時に、どうやったら石原慎太郎氏に会えるかの作戦も、開始した。

"こね"も"つて"も何もない彼は、寝る間を惜しんで仕事をしている方にアポイントをとる方法としてとった手段は"手紙作戦"。それも絶対読んでもらえるようにと色々な工夫をした。それはまるで企業が大きなプロジェクトを成功させるときのような戦略だと思えるほどだった。

彼の努力は報いられ、直接石原慎太郎氏に会え、「石原慎太郎の公式ホームページ」の運営・編集責任者として石原慎太郎氏ホームページ「宣戦布告」(http://www.sensenfukoku.net/)がオープンした。

時代が変わり、有名大学=就職100%がありえなくなっている。そして、企業が新卒より経験者を欲しがる時代になってきた。

「今、一生懸命お勉強していたらいい大学に入れるし、いい企業に入れるし、いい生活が出来るようになるのよ。だからママを信じて頑張りなさい!」とお尻を叩かれ、やっとのことで大学までこぎつけ、「さあこれから一流企業に!」とフット見たら一流企業は"超一流"の問題を抱え、元気のいい企業は「新卒者はね・・・」と採用してもらえず、「子供時代を犠牲にして受験、受験できたのに、どうしてくれるのかよ!」と嘆き、自分の大学を恨み、時代を恨み、親を恨んでノイローゼになる学生。「こんなことなら専門学校でも行って、手に技術でもつけておけばよかった!」と嘆きながら、なんとが学校がしてくれるのではないか。景気が立ち直れば「なんとかなるかも知れない。」と、自分で動こうとせず「大学院でも行こうかな?」と、問題の先送りをする学生。

しかし、どんな厳しい時代でも逞しく生きていく人間はいる。逞しく生きていく知恵をもっている人間もいる。そしてそういう人達の、私が考えている共通点とは(1)好奇心が旺盛で何にでも挑戦。(2)例えば美味しいラーメンを食べるのでも一生懸命最後までするし、何にでも徹底的に楽しむ。(3)ごちゃごちゃ言い訳する前に、体が動いている。(4)そして、人間が素直だ。

今の時代ほど、どんな環境でも状況でも子供が一人で生きていけるよな教育をしていかなければいけないと、信じている。仕事がないと嘆くより、仕事を自分で作ってしまうくらいの気力。「こんな仕事をしたい!」とか「絶対この人の下で働きたい!」と思える人を自分で捜していくくらいの人間。どんな"不可能"にも例外はたくさんあるはずだ。その例外の一人になれば、どんな条件も克服できる。その為に、子供達には生きる"底力"だけは、しっかり身につけて欲しいと願っている。

「小林元喜さん、あなたが上田学園の子供達とかかわってくれて有難う。そして"楽しく生きるサンプル"でありがとう。上田学園の子供達。こんなに身近な人達の中に、こんなに頑張って自分流に生きている人がいてよかったね。君達も自分の信じる道が出来たら、やってごらん。きっと、自分流に生きられる場所と目標がみつかると思うから。」

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