●学園長のひとり言  

平成15年6月10日*

(毎週火曜日)

 

200分の5

「一ヶ月本当につらかったですね。精神的にはそんなにつらくないんですが、あまりの忙しさに、本当にくたびれました。でも要領がやっとつかめ、仕事をしているのがずっと楽になりました。」

一月ぶりに会った卒業生は在学中よりもほっそりしていたが、なんとも神々しい感じになっていた。どこがどう神々しいのか説明できないが、在学中よりも贅肉がとれ、なんとも穏やかで、なんともさっぱりした今まで以上に清潔な若者らしい感じになっていた。

帰宅はだいたい12時から1時の“午前様”だという。土曜日も殆ど出勤で日曜日はたくさんの宿題が出るので、日曜日も資料を読んだり、色々しているようだ。そんな生活でも気分的には本当に楽しく仕事をしていると言う。そして「上田学園で勉強して本当によかった」と感謝してくれた。

有難いと思った。
感謝されることを期待してやっている仕事ではない。楽しくてやっている仕事だ。それでも、やっぱり感謝されて悪い気はしないし、そう言ってもらえるのは彼が今を満足しているからだろうと思うと、それが嬉しかった。

「皆に言いたいな。絶対一生懸命上田学園の勉強をやっておいたほうが、社会に出て得をするって!」と言い、時間があったら後輩にそれを伝えに来ると言う。

彼が大変な難関を突破して就職したことは知っていたが、よくよく聞くと、書類選考に200名が残り、その200名を5人ずつ面接し、最終的にその中から5人だけ採用されたそうだ。そして一月。採用された5名の中の一人がすでに首になったと言う。そして残った4名のうち、この一月で彼の企画が2つも採用されたそうだ。

彼の話を聞いていて、つくづく考えた。“親業”の醍醐味も、“教師業”の醍醐味も、子供達の成長が見られるということだろう。そんな贅沢を私は毎日味わっているが、それ以上に社会人として仕事をしてみて、上田学園の授業がものすごく大きく役立っているということを教えてくれた彼の言葉に、世界で一番勉強させる日本の学校なのに、社会に出たとき、世界で一番役立たない授業をしているのが日本だというのを聞いていただけに、教師として嬉しかったし、彼の輝いている顔に、本当に頭が下げたくなった。

年齢も、経験も、学歴も、入学した理由も色々だか、上田学園の6名の学生達は、毎日確実に進歩し成長している。その成長は、時には毎日の生活の中に笑いを誘い、時には色々な問題提示をしてくれる。そして、そのたびに私は大声で笑い、真剣に話し合う彼らに耳を傾けながら、「こんなことを考えているのか」とか「こんな意見を持っているんだ!」と関心し、昨日より今日、今日より明日と成長する彼らを、頼もしく見守っている。

ここ2・3週間は色々な方が上田学園を訪ねてくださり、異口同音に「上田学園の生徒さんは素晴らしいですね」とおっしゃる。確かに、彼らは素晴らしい。しかし、素晴らしい彼らにしたのは、彼ら自身の努力であり、彼らの今は、昨日までの彼らがした努力の積み重ねのおかげなのだ。

200分の5。凄い倍率で入社し頑張っている卒業生。タイの国立大で先生として頑張っている卒業生。そして、「今のところ時間を切り売りしているような仕事ですが・・・」と大学に行くお金をためるため働いて頑張っている卒業生。他の卒業生も仕事に大学にと、一生懸命やっている。それは、彼らの毎日の努力がそんな卒業生を作っているのだ。

「上田学園の生徒さんはご立派で、家の子供は無理ですね」と言い、「上田学園の授業には絶対ついていけないと思いますし・・・、家の子には絶対むりですから」と家の子の“本人”に確認することなく“入学しない”ことを決定する親御さんも多いが、上田学園の子供達は本当に努力をして自分達で今を作っており、入学したときから“今の彼ら”ではなく、入学当初は「家の子には・・・」と言われているお子さんと大差がなかったように思う。

何に違いがあるかというと、上田学園の子供達は、上田学園に入学するとことを選択し、上田学園で他の学生や先生達から影響を受け、それぞれがちがった年齢、違った学力等を上手に補いながら、なかなか魅力的なハーモニーにして奏で、授業内容を自分の物にしているだけなのだ。

「また遊びに来て、生徒達に色々会社のことを話します」と言って帰る卒業生の様子に、なんとも誇らしい“母親”のような気持ちになり、思わず「卒業生皆に会いたいな」とつぶやいてしまった。

「頑張れ卒業生達!皆のことが本当に嬉しい。こんな嬉しい気持ちにしてくれる君達に感謝!本当に誇りに思います。私も頑張ります。なんだかまた歌いたくなっちゃたな、野呂田君銘銘のあのへんな歌『ガンバラナクチャ♪、ガンバラナクッチャ♪』って。また学校に遊びにきてね。皆で待っていまーす」

 

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