●学園長のひとり言
 
平成17年1月8日*

(毎週1回)

   今年も宜しくお願い致します!

「藤チャとヒロポンと荻チャと僕がいます。成チェリンも昨日は来ていました。頼まれた地図を作っています」

昨年の暮れに、ある出版社から授業で学生達が作った「ハモニカ横丁」の地図を使わせて欲しいという申し出と、中央線沿線の8箇所の駅周辺の簡単な地図も作って欲しいという依頼が来た。その地図の作成のためにお正月の2日から学校に出て来ているのだと、用事で携帯に電話してきたオッちゃんが報告してくれた。

納期までの時間があまりにも少ないこと。1月早々には添乗員のアシスタントとして1週間の海外研修があること。3月に実施する予定のタイ旅行の営業も本格的にしなければならないこと。他の授業の宿題もやらなければならないことなど、「ねばならない」ということばかりなので授業以外のことを引き受けるより、今出されている宿題の内容をもっと充実させた方がいいという学生達の話し合いの結果、一旦はお断りをしたようだが、話し合いの結果に納得が出来ないという荻ちゃの提案で、すでに帰郷していた大チャン以外の学生全員で再検討。その結果、期限付きの仕事を引き受け、依頼に答えられるようないい仕事をすることは、間接的に「宿題」や「課題」を今以上に充実させるための一手段になるのではということで、正式に仕事を引き受けることになり、そのお引き受けした仕事のために、皆が正月休み返上で学校に来ているというのだ。

団体プレーが苦手な学生達。どんなに小さな約束ごとでも、約束して引き受けた以上、最善を尽くし、期限内に納めることは当たり前のことであり、まして、例えどんなに少ないお金でもお金を頂戴する仕事をするということは、「雨が降ったから」とか「雪が降ったから」等という言い訳は通らないことを理解しているのかと、正直なところ心配していた。

がなのだ、1年前よりも半年前よりもずっと流れが加速をはじめている今の上田学園。「やってくれるじゃない」と思うほど、前向きに頑張る学生が増え、「そんなレベルの低い心配、しなくてもいいよ!」と言ってくれているかのように動きだしている。

なんだかんだと文句や愚痴を言いながらも、色々なことを体験しながら自分で自分と戦いだしている学生達。同時に授業時間以外の暮の忙しいときに、自分達のタイ旅行を「どうマスコミにアピールするか?」の授業をして下さった先生に、学生達が自分達のお金でお食事にご招待したとか。

「学生達に散財させて申し訳なかった!」と話して下さった先生に「色々ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願いします」と90度のお辞儀をしながら、自分の遊びには平気でお金を遣うが、遣わなければいけないところでは絶対と言っていいほどお金を遣わなかった学生たちだっただけに、少しずつだけれど「普通の感覚」と思える感覚が育っていることが嬉しく、ホンワカした気持ちでご挨拶することが出来た。

2005年。上田学園全体の今年の目標は、「自分と戦う年」にしたいと考えている。

どんな理由であれ「上田学園に入学するという選択をする自由」を選択して入学した学生達、それに伴う義務を遂行しなければならない。その義務とは、決められた事、約束したことを守ること。それも自分のレベルで。

上田学園の義務とは、出来る出来ないに関係なくやってみる。失敗してみる。恥をかいてみる。汗をかいてみる。それを教材にして、その中から色々なことを学び、他人と比較するのではなく昨日の自分と比較しながら、自分の人生に責任が持てる人間になる努力をすること。

自分の人生を終えるとき「一生懸命生きた、満足だった!」と言えるようになるためにも、「学ぶこと」。即ち、授業に出ること。人間関係をつくる上で大切な「人との約束を守ること」。そして、18歳ならば、他人の18年ではない、自分が生きてきた18年間の体験をベースにして自分の頭で考え、理解し、発言することを大切にすること。それをしながら、自分と戦って欲しい。自分の欲望や、虚栄や虚像と戦いながら、生の自分を見つめ、虚像が実像になるように自分を磨いて欲しいと考えている。

親であろうと、教師であろうと、どんな人がどんな保障をしても「満足した」「幸福だった」と心から言えるのは、自分しかいない。その為にも、本当の意味で、自分を心から愛し、自分を心から大切に出来る人間になるための努力を、学生たちには一生懸命して欲しいと願っている。

今年はどんな年になるのだろうか?深く考えると怖くなるときがある。しかしどんなことがおきようとも、大切な大切なお子さん達をお預かり出来たことに感謝し、色々な先生や色々な方々のお力をお借りして、成長の度合いもテンポもまちまちではあるが、三年間の在学の最後のその日まで、将来につながる次の自分の道をみつけてステップアップのために学園を卒業していく学生達の“役立つ踏み台”になれるよう日々努力を重ねていかなければと、学生たちの嬉しそうな顔や、楽しそうな顔。注意されて困った様子。大声でおなかを抱えて笑っている声などを思い出しながら、「昨年以上に今年もがんばらなくちゃ!」と、自分に言い聞かせている。


皆様、明けましておめでとうございます!
改めて新年のご挨拶を申し上げます。

上田学園も学生達も、また今年1年、色々な方々にご迷惑をおかけすると思いますが「もう〜しかない」ではなく「まだ〜もある」という考え方を大切に、皆様には、昨日の私たちと比較して今日の私たちを喜び愛でて頂きながら、明日の私たちを楽しみにして頂けるよう努力してまいりますので、今年もどうぞ宜しくお願い致します。

今年1年が皆様にとって良い年でありますよう、心からお祈り申し上げます。
お近くにお越しの節は、是非上田学園にお立ち寄り下さい。学生たちともども、心からお待ち申し上げております。

 

 

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