●学園長のひとり言 |
平成19年1月1日
(不定期更新) 年の瀬
「1年があっと言う間に過ぎていきました。もう今日は12月31日。毎年「今年こそは29日からゆっくり休みたい」と願って、何年たったでしょうか。特に今年は忙しい年でした。 最高12名しか入学出来ない上田学園。今年は例年になく出入りが多く、また最後まで頑張ってこられた学生たち全員が、ここに来て急激に伸びはじめた年もありませんでした。 卒業生の進路が自分の希望通りにきまり、在校生も自主休校しながら自宅で授業に参加し、何百枚もの感動する絵を描いて期日までにきちんと送って来てくれることに、彼に会ったことのない学生をも感動させている学生。 例外的に入学を許可したが、在校生にたくさん心を砕いてもらいながら、でも一度も出席せず終わってしまった学生。 得意なものは「出来て当たり前」。その得意なものを、もっと味のある、深みのある得意なものとし、世の中で生かしていけるようになるために、だからこそ苦手なことを、その世界で認められている先生かたに応援してもらいながら学んでいくのが上田学園なのだが、それに興味がないと、引っ込んでしまった学生。 そんな中、「分からない」「出来ない」と悩みながらも歩みを止めることもなく黙々と皆について行き、「なんだか、少し、ほんの少し授業が分かるようになりました」と言えるようになった学生。 学校に来ても、いつもふっと消えて、自分の存在をあるようなないような存在にしていたのが、授業の流れで、必然的に他の学生と責任ある対応を迫られ、それを実践することによって、伸び伸びと自分の存在を主張し始め、他の学生に今まで以上にアピールしだした学生。 先生たちからも先輩たちからも一番の上級生だからと期待され、「期待される」という初体験に戸惑い、暴走し、注意されながら自分の欠点に気付き、どうしていいか分からないが、何とか直そうと苦労し始めた学生。 話し合って条件付で4年目に在籍。大学進学を決め、高校卒業認定資格試験にも挑み、なんだかホットしたのかロングホリデーに突入した学生。 そんな学生たちに、誰に注意されるのでもなく、他人に興味を持ち、自分たちでお互いを気遣って欲しいと願いながら、どうしても母親のように手を出したくなる自分を戒める意味もふくめ、周りの方にご迷惑をおかけしながらも日本語の一教師として準備し、毎朝6時20分には家を出て教えに行き、午後に戻ってきて学生たちの問題に対応するという生活を数ヶ月させてもらったが、お蔭様で、今までとはまた違った目で上田学園や学生たちを見ることも出来た。 あと何時間で今年も皆の人生の過去になる。それも納得する人生を送れる基礎になる未来のための過去に。来年は再来年のどんな過去になるのだろうか。暮の予定では、上田学園の大掃除が終わり、いつもお世話になるご近所の皆様へのご挨拶も終わり、外の喧騒には無縁と思える静けさに包まれるはずだった上田学園。学生たちはまだ今年最後の授業をしている。その真剣な姿に思わず「よく頑張っているね、お疲れ様!」と胸が一杯になる。ご自宅の大掃除の時間を返上して学生たちに付き合って下さる先生に頭が下げたくなる。 問題が起き、悩み、苦労をするたびに、先生方や卒業生たちの心配りに共鳴するかのように、全く他人に無関心だった学生たちが変化を見せ、本来の彼らが表面に浮上し、そして動きだす。「どんな人間にも自分を良い方向に変える権利と、成長する権利はあるはずです」とでも言いたげに。 苦しくても、大変でも、いつも大声で笑えることがたくさん転がっている学園で、「さすが、学生たちに尊敬される先生たち!」「さすが、社会で頑張っている卒業生たち!」「なんだか分からないけれど、何とか自分をかえなければと入学してきただけあるね、よく頑張っているね、君たちは!」と誇りに思える学生たち。そんな彼らが織り成す人間模様。それをフォローして下さり応援して下さる学園に出入りする方々、近所の皆様。本当に意義ある1年を過すことが出来ました。 2007年。皆様にご迷惑をおかけしながら学生たちは自分の道を見つけるために努力をしていくと思います。どうぞ2007年も、宜しくお願い申し上げます。 上田学園
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