●学園長のひとり言

平成19年2月8日
 (毎週火曜日更新)

上田学園狂想曲演奏会

 

「こんな小さな学校なのに一ヶ月の高熱費、異常に高すぎです。もっと節約してください」税理士の先生からのお小言。節分も終わり、暦の上では春。暮れから続いている上田学園狂想曲演奏会、少しずつ大詰めにきている。

調べ方や分析の仕方が甘く、まとめる文章にも色々な問題があり、株の担当の先生を最後の最後まで悩ませ続けた日経ストックリーグのレポート。提出締め切りは1月9日。しかしその日に旅行の授業の添乗員アシスタントの実習でヨーロッパに出発する学生もおり、暮れの30日までに仕上げようと準備をしていた学生たち。

入賞するかしないかでも、提出出来るか出来ないかでもなく、「やれるところまで頑張ってみよう」と、担当の先生に支えられながら他の授業の宿題など、やらなければいけないことばかりの中で、時間のやりくりに苦慮し、彼らなりに努力した学生たち。「出来た、本当に嬉しい!」という悲鳴に近い学生の感激の言葉と拍手に送られ、レポートは郵便局へ。そして遅れていたリサーチの授業の「井の頭公園のゾウのはな子」の映像と絵本製作に没頭。

ご協力下さった方々へ自分たちの感謝の気持ちをお伝えするためにも「出来る限りいいものに仕上げよう」を合言葉に、大晦日の31日の午後9時まで、先生の暮れの大掃除も返上して頂き、出来上がった作品を見、調整し、手直しを正月返上で1月1日から始めた学生たち。

映像の微調整、ナレーション原稿の見直しと録音などなど。学校のコンピュータをフル稼働させ、時々調子を落すコンピュータをなだめすかしながら頑張っていた学生たち。作業に手間取り、そのまま学校に泊まり、そこかしこで寝込んでいた学生たち。そんな中、リサーチの授業を聴講している卒業生と一緒に、一人残って作業を続けるハチマキ君に不在の間のことを頼み、今学期の第一日目の授業として、商社の方たちのお供をして添乗員アシスタントの実習のためヨーロッパへ。

120名以上のお客様が分散して11ヶ所のホテルに滞在。その中のホテル5ヶ所を上田学園の学生たちが担当し、旅行担当の先生と先生の会社の方たちに指示されながら早朝から夜遅くまで、5ヶ所のホテルから空港へのお見送り。遅れて到着するお客様を空港にお出迎えし、ホテルまでご案内。展示会場へのご案内。美味しいレストランへのご案内。観光地へのご案内などなど、くるくるとよく走り回った1週間。

初体験の添乗員アシスタント。一人でお客様を十数名引率して、1時間差で先に現地入りした先生たちとフランクフルトの飛行場で待ち合わせた門馬ちゃん。

先生に指示されながら自分の担当のお客様のホテルチェックインのお手伝いをし、その後すぐに一人で、次の日にお客様をご案内するメッセ会場まで地図を片手に徒歩時間を計りに行ったり、電車の切符の買い方をチェックしに最寄の駅を探しに行ったりと、到着早々から仕事が開始された。

「朝食以外、まともにご飯も食べられません」と言いながらも、ビジネススーツでびしっと決めて、フランクフルトを走り回っていた門馬ちゃん。いつの間にかお客様のアイドルに。そして同室のお客様から、思いがけないハプニングで興味など全くない仕事をすることになったいきさつや、それで大成するまでのお話を伺い、「お話が聞けて本当によかったです。展示会場でも本当にデザインから色の使い方、商品の展示の仕方、全く日本と違いますね」と、ニコニコ話す彼女の顔は、「心配、心配!」「行きたくな、行きたくない!」を連呼していた同じ学生だとは思えないほど、はつらつとしていた。

「3年目なので」と、厳しく仕事をたくさん言いつけられ、書類の重みで壊れそうになっているカバンを担いで、ホテルからホテルへ飛び回っていたオギッチ。夜は同室の商社の方とビールを飲みながら色々な話しを伺い、先発組の数名のお客様をお連れして一足先にパリへ入り、お客様のチェックインを済ませ、その後一人先に帰国する先生を見送り、お客様のお世話をしながら一日遅れでパリ入り他のグループの方々を出迎え、チェックインのお手伝いをし、添乗員やガイドさんたちと帰国の打ち合わせを済ませ、1日だけもらった自由時間に、パリが初めての平ノッチを徒歩で案内してまわったりと、大活躍。「3年前にくらべたら雲泥の差だが、それでもまだまだ反省することが多いな」と先生から厳しく注意されながら頑張っていた。

門馬ちゃんと同じく添乗員アシスタントの見習い初体験。全てのことに躊躇していた平ノッチ。ミラノ・フランクフルト・パリと、早朝一番の飛行機での移動のため、二・三日ごとに朝4時には起きる生活。注意されたり、指示されたりと、目まぐるしく移動するスケジュールの中、スーツにロングコートといういでたちで緊張しきっていたが、それでも何とか皆と一緒に頑張った添乗員アシスタント研修。自分の担当のお客様を引率して無事帰国。緊張を解く間もなく、次の日からミラノで買った素敵なマフラーを首に巻いて、忙しそうに授業に臨んでいる。

毎日毎日一つ一つ仕上がる映像。毎日毎日描き直される絵本の絵。井の頭公園のゾウのはな子の物語。彼らが話し合い、インタビューに出かけ、映像に撮り、絵に描いた作品は、多くの方々の暖かいご協力で出来上がってきている。そんな暖かいご協力が、学生たちをまた少し成長させて下さっているようだ。

日経ストックリーグも終わり、添乗員アシスタントの実習も終わり、そしていよいよリサーチの授業も最後の大詰めに来ている。これが終わると卒業する学生は卒業の準備を、継続する学生は継続する準備を始めることだろう。

例年になく暖かく、過しよかったこの冬。上田学園は例年になく忙しく、例年以上に夜遅くまで居残って作業をしていた学生たち。くじけそうになると、一生懸命素敵な絵を描いて送ってくれるおっちゃんの頑張りに助けられ、皆で頑張った数ヶ月の狂想曲の演奏会。そろそろ幕がおりようとしている。そんな学生たちの横で私は、演奏会で一番大切であり、演奏会の醍醐味と勝手に思い込んでいる演奏直後の余韻に思う存分浸ることを楽しみに、学生たちが「製作完了」という演奏会の幕をおろすのを、今か今かと心待ちにしているところだ。

 

 

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