●学園長のひとり言

平成21年1月8日
 

  
2009年、初春


年末にまぶたの手術を受けたのを理由に、我が家は大掃除なし。お節料理は母と二人分を買いもとめ、家でのお料理を省略。そしてテレビを見たり、本を読んだり、母の思い出話を聞いたり、いねむりしたりと、何年ぶりかのノンビリとしたお正月。それもお正月だから聞かれる御近所のおじいさんおばあさんを訪ねてきた子供たちのなんとも可愛いらしい声をBGMにして。そんな子供たちの声を遠くに聞きながら「どんなお正月を過ごしているのかしら?」とふっと学生たちのことを考えたりしながら。

2009年の授業が始まった。13日から商社の方々を展示会に御案内する旅行の添乗員アシスタントとしてドイツに行く学生たちは忙しそうだ。体調を崩して去年の夏から休んでいた学生も暮れごろから少しずつ学校に出てこられるようになり、ホットしている。そんな彼らを見ながら、今年の1年はどんな年になるのか?休んでいる学生たちは?卒業していく学生たちは?「どちらにしても楽しみだわ」と心の中でつぶやく。

今年は100年に一度来るか来ないかの大恐慌だという。そんな中で迎えた新しい年。上田学園の学生たちには両目をしっかり開けて、今の事実、今の現実からたくさんのことを学んで欲しいと願う。まるでそれが時代の最先端の考えでもあるかのように学校を卒業しても普通に就職はしない。一旦フリーターになり、色々な仕事を体験し、それから好きな仕事、条件のいい仕事をみつけて就職すると公言する学生が増えた7・8年前。そんな風潮に疑問を持った学園では、夏休みの宿題として「派遣の仕事をすること」という条件のもとアルバイトをやらせた結果、「フリーターはまずいです。一見責任をとらなくてもよく、好きな時にだけ気楽に働いて、日給も高そうに見えますが、明日がないので皆酒ばかり飲んで、30歳過ぎなのに俺たち18歳や19歳と同じ仕事をして、ただ年だけとっています。あれはまずいです」と言い、仕事の選択肢の中からフリーターという項目をはずし、出来る仕事からはじめ、地道に努力し、力をつけ、社会人として彼らなりの成果をとげている卒業生たちのように。

好きなこと、やりたいことをするためには、やらなければいけないことがたくさんある。勿論、やらなければいけないことを地道にやるのは面白いものではない。どうせ面白くないと思えることをしなければならないのであれば、面白くなる工夫をする癖をつける“トレーニングタイム”とでも考えて、今の時代を楽しんだらいい。つまらないことを面白いことに変える癖がつけられたら、どんなことでも楽しみながら頑張れるようになると思うから。

2009年。世の中が厳しくなればなるほど、それを“学びの時”と考え、嘆かず、騒がず、文句言わず、プラス思考で大変なことを笑い飛ばしながらしっかり学んでいって欲しい。特に、こんな状況下で卒業していく二人の学生には、どうせ厳しい就職事情なのだから、選択肢も多くはないのだから、その状況を逆手にとり「出来ることをやらせてもらい、出来ることをたくさん増やし、出来る人間になれるよう、社会を教師に、社会から叩いてもらい、成長させてもらおう」と考え、若い時代の大変さを楽しんでもらいたいと思う。私もそんな彼らに負けないよう、大きな目でしっかり世の中を見据えながらこんな時代に生きる中年の一人として、この1年間をどう楽しめるかをチャレンジしようと考えている。

2009年、どんな上田学園ドラマが始まるのか分かりません。不安もありますが、不安以上に楽しみもあります。何しろ授業開始4日目で、すでに少しずつ新しい変化を始めた学生もおります。その変化は1ミリにも満たない変化であり、前進ですが、0ミリではありません。ましてその学生にとっては大きな第一歩。それも嬉しくなるほどすてきな第一歩であり、確かな前進。そんな学生たちを愛でながら、全力で学生たちと行動していきます。

今年も上田学園を宜しくお願い致します。

 

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