平成23年04月16日(土）

決めました。
平成23年度の新学期は10月から開始させて頂きます。

「学校に行かないことを選択した学生達が学ぶ学校だからこそ、
日本にない学校をつくろう！」
と考え、平成9年の10月、フリースクール上田学園が誕生しました。
そんな学校も、もう14年目に入りました。
この間本当に色々なことがあり、その度に先生方や生徒たちと
“文殊の知恵”を駆使し、乗り越えてきました。

昨年、内閣府から「引きこもり70万人。そのうち60％が30代」
という発表がありましたが、ここ数年間、
上田学園でも学生達の平均年齢が上がり、個々の学生が持っている
問題も以前より深刻なケースが増えてきました。
自分の立ち位置が分からず戸惑う学生達に、
何とか解決方法はないものかと努力はするものの、
「もっと小さいときに出会いたかった、そしたらもっと何か出来たのに」
と思うような状況が多々あります。

そんな学生達の問題を通して
「日本は変わらなければ、ダメになる。 日本人の考え方は絶対変わる」
という危機感に背中を押されるように、
見直す点は見直し、学園をもう一歩、次のステップへ
進めて行きたいとずっと考えておりました。
今までとは違うものになるだろうこの社会で
「一生懸命生きた、満足だった！」と言って
学生達が人生を終えられるために。

しかし、じっくり考えたいと思いながらも、
現実的には毎日の業務に追われ、時間が過ぎて行きました。
そんな中、昨年末のこと。
タイで行う毎年恒例の日本語授業の研修からの帰国後。
ひとりの学生から 「上田先生は自分を見てくれない」と言われ、
改めて自分の来し方を振り返り、大変反省させられました。

上田学園がひょっとしたら、学生達の
役に立っていないのではないかと弱気になっていたとき、
学園の教育方針は絶対役に立っていると
教え励ましてくれたのが、卒業生達でした。

「先生、絶対学園やめないでよね。続けていきますよね。
いつでも集まれる学校が無くなったら困ります。
いつか卒業生同士で会社をつくりたいし、
国内外で活躍する学生達で助け合うことも出来るし。
特に海外にいる卒業生にとって、日本に戻る場所があるというのは
心強いです。卒業してもここは、自分達の心の拠り所だと、
本気で思っているくらいですから」

などと言ってくれる卒業生もいました。
彼らは社会人としてしっかり自立をしていき、就職、昇進、結婚、
子供の誕生などの おめでたい報告にときどき来てくれますが、
上田学園のこともよく気にかけてくれているようです。

「上田学園をやっていてよかった！学生達の役にたつ学校だった！」
という思いでホッとすると同時に、やはり学園第２章に進むべく
もう一度「教育とは何か？」
「上田学園でやらなければいけないことは？」等を
真剣に考え、絶対に継続していかなくては、と思いました。

ちょうど仕事を辞めて英国の大学院へ進むことになった
「おせっかい卒業生」成チェリンに聞き役となってもらい、
学園の将来に関して色々話し合いながら、
自分の考えをまとめていく作業が続きました。

それと同時に、不思議なことに「上田学園の先生にお願いしたい」と
思えるほど、生きざまの素敵な若い方たちとの出会いが続きました。
そして全員、上田学園で講師をして下さることになりました。

その矢先、東日本大震災が起こりました。

地震で色々なことを今まで以上に真剣に考えさせられました。
「教育とは何か」「教養とは何か」「知識とは何か」
「判断力とは何か」「平常心とは何か」「人を思いやるとは何か」
「お金とは何か」「仕事とは何か」「生きるとは何か」・・・etc.

地震まえに何気なく考えていた
「今こそ、日本中が考え直さなければ」という漠然たる思いが
本当になってしまいました。
「未来がないのでは？」と思えるような時代になってしまいました。

上田学園としては、ちょうど在校生が全員卒業したという
タイミングもあり、まだまだ余震もあることなので、
「上田学園第２章」に向けての準備をする期間とし、
新学期の開始を10月にさせて頂くことにいたしました。

この間、今後何を学生に気付かせ、それをどうフォローしていくのかを
しっかり考えます。色々な方々とお目にかかり、お知恵を拝借しながら、
レギュラーの先生や新しい先生方たちと相談し、
授業計画を再度練り直して、10月生受け入れの準備をさせて頂きます。

また、この間にも今まで通り、
上田学園に入学する、しないに関わりなく、
教育のことで迷われたり、お困りの方の
ご相談を受けつけていきます。

10月までも学園のブログやホームページに随時、
上田学園第2章に向けての取り組み等を書かせて頂きます。

今後とも上田学園をよろしくお願い申し上げます。

上田学園　学園長