2009年2月5日(木)

 

パリの美術館巡り

 

階段を登り、長い廊下を歩く。道を間違えたのに気づいて戻り、展示物を気にすることなく先に進む。ようやくお目当ての絵を見つけた。そこでは予想通り人だかりができていて、みんなカメラを手に写真を撮っていた。モナリザは大きな吹き抜けの真ん中で、多くの人達に向かって微笑んでいた。

パリ滞在二日目の午後、私はルーヴル、オランジュリー、オルセーの三つの美術館を巡った。三カ所を四時間で、駆け足で回った。

ルーヴルはパリを訪れた人が一度は行くという美術館だ。一日でも見きれないほど大きいという話を聞いていたので、有名な作品だけを見ることに徹した。モナリザやミロのヴィーナスを鑑賞しては、広い館内を早足で歩き回った。少しせわしなかったせいか、作品を見ての感動はあまりなかった。

三十分後、私は突然の静けさに思わず息をのんだ。そこはオランジュリー美術館の睡蓮の間だった。あたり一面真っ白な部屋を囲むように飾られた四枚のモネの睡蓮。そこだけまるで時が止まったような、不思議な空間だった。

夕方になった。セーヌ川を渡り、オルセー美術館に入る。ここは印象派の作品が数多く展示されていて、最上階にはゴッホやセザンヌなど、有名な作品だけを展示したスペースがあった。そこを歩き回っていると、なぜだかついうれしくなった。印象派の作品を八割方見た所で閉館のアナウンスが流れ、幸福な美術館巡りは終わりを告げた。

美術館を出てから地下鉄に乗ってホテルに帰るまで、ずっと気分が高揚したままだった。本物の絵が持つパワーが、私をそうさせたのかもしれない。貴重な体験ができたことに、心から感謝した。

 

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