2.妻のいる、妻の寝床にいた。

ガンジー曰く、「十時半か十一時ぐらいだったと思う。私は父の体をさすっていた。伯父が交替しようと言ってくれた。私は感謝してまっすぐ寝室へ行った。妻はぐっすり眠っていた。無理やり起こして抱こうとしたが、五分もたたないうちに召使がドアをノックした。」それは愛する父、カラムチャーンド・ガンディーの死を知らせるノックであった。

「妻を抱きたいという欲望さえ抑えれば、最期の瞬間に父のそばにいてあげられたのに。その欲望は消すことも忘れ去ることもできない汚点を私の上にのこした。両親を深く敬い、彼等のためなら全てを犠牲にしても厭わないはずだったのに、実際には親孝行より欲望を優先させてしまった私であった。父がまさに息をひきとろうとするその瞬間、私の頭の中にはセックスのことしかなかったのだから。」

しかもこのとき、ガンディーの妻は妊娠していました。産まれた子供が生後まもなく死んだとき、妻はそれを彼のせいだと責め立てました。彼はそれが自らの犯した"罪"への当然の報いであると思いました。
こうして彼の肉への欲望は深い後悔に捕らわれたのでした。