「西太后と写真 」の答え

答えは@の「西太后は写真に撮られるのを喜び、服を何着も着替えて撮った。」です。

 


 西太后は写真師の持つカメラに興味を持ち、細かく点検したりしました。宦官の一人をカメラの前に立たせてファインダーをのぞくと、西太后は「お前の頭は何故逆さまなのだ、え?」と大声をあげました。引き伸ばしや焼付けの作業を見学したりすると、西太后はますますカメラが面白いものに見えてくるのでした。

 西太后は写真の虜になりました。

 西太后は観音様の格好で写真を撮られるのが好きでした。あるときは舞台衣装を着て観音様になりきり、お気に入りの宦官にも着飾らせて写真を撮りました。
「腹を立てたり、心配事があると、私はいつも観音様に扮する。気持ちを落ち着かせてお役目に戻るのによいのでな。この格好で写真に収まると、いつも私がかくありたいと思う私になれる」
 西太后はこう語ったといいます。

 西太后は心の中に鏡を持っていました。その鏡には自分の理想が映されているべきでした。なぜなら西太后は16歳で皇帝の側室になってからはプライバシーなど全くない監視状態に置かれ続けていて、いつもいつもみんなが求める皇太后を演じ続けなければならなかったからです。

 皆に「み仏様」と呼ばれた西太后は観音に変身し、写真という永遠に固定された世界に身を置くことで安らぎを得ることが出来ました。

また余談ですがこうして、はじめて西太后と宮廷を写真に収めることになったのは、西太后が西欧人と話すための通訳をしていた徳齢という侍女の兄が1903年に宮廷御用の写真師となってからです。1903年から1908年までの西太后の写真を撮ったのは徳齢の兄だということです。

 徳齢はフランスに留学していたこともあって、西太后が欧米婦人と会ったりするときに、細かいニュアンスを逃さないように世界の事情に精通した通訳として、西太后の側に仕えた人物です。彼女は後にその体験を本として出版し、有名になったとのことです。