宿題中の出来事
今回は外伝も外伝、上田学園の出来事ではなく
夜我が家で宿題をやっていたときの出来事です。
僕が家の居間で企画の宿題をしていると、突然珍客が訪れた。
「ネコだ」
どこから入ってきたんだろ。
[侵入経路不明]
こちらが動くと猫が僕の部屋にダッシュで突っ走って行った。
「おいおいおいおい…」
急いで追いかけていった。
部屋につくと猫は勉強机の下に隠れていた。
ちかづくと
「ウ〜〜〜」
かなりうなっていた、機嫌が悪いようだ。
「どうしたんだ」
ネコに話しかけてみた。
その時あることが頭に浮かんだ。
(侵入経路不明?)
「まさか!」
急いで窓を調べた。一応網戸が閉まっている。
だが念には念を入れて、部屋のビデオテープを調べた。
おしっこをかけられていないか、ウンコをされていないかなどだ。
そのあとビデオを調べた。
配線ははずされていないか、壊されていないかなど。
一通り点検が終るとネコの方に目を向けた。
あいかわらずうなっている。
とりあえず窓を開け、出て行くように頼んでみた。
まったく動かず。
しばらくして
「寒い…」
夜風はなにげに寒かった。
(早く出てってくれよ)
そう思ったのだが、よく見るとネコの目が閉じかけていた。
「…」
少しあきれた。
「お〜い、寝るなー」
ネコに日本語で呼びかけた。
「ウーー」
眠りを妨げられたため、ネコはまたご機嫌斜めになってしまった。
「さみー」
とりあえず布団をかぶり、そのまま寝転んだ。
布団は予想のほか暖かく、気持ちよかった。
「ねみー」
ここのところの疲れと、気持ちよさが眠気を誘ってきた。
だが眠るわけには行かなかった。
「いかん」
強引に目を覚ました。
このまま寝たら、ネコに部屋を荒らされかねない。
「何とか出っていってもらわないと」
これ以上今日のスケジュールを狂わせられたくない。
1人で相手していると眠りそうなので
とりあえずネコが動かないことをを祈って居間に援軍を呼びに行った。
「まだ出てってないのか」
居間でPSをしている親父があきれた感じで言う。
適当に親父に答えると兄貴に話しかけた。
「うん、ネコ?」
兄貴が聞き返してきた。
経緯を説明すると兄貴は面白げに部屋についてきた。
「どうするんだ」
「とりあえずこっから外に出して」
開いている窓のほうを指差した。
「ふ〜ん」
兄貴は確認すると僕には見せない優しい声でネコと接しだした。
「うーー」
怒っている。やっぱむりかなと思った。
「なんか道具ないのか」
兄貴に聞かれ、ネコじゃらしのようなものの代わりになるものを探した。
「これなんかどう」
とりあえず筆が近くにあったため渡した。
受け取るとネコをくすぐりだした。
「…」
まったくききめなし。
それどころかまたネコが眠りにつき出した。
「ハァ〜」
ため息が出た。
「兄貴とりあえずここ見てて、俺パソコン切ってくる」
不安だが、ネコのほうは兄貴に任せ居間に行った。
よくよく考えると宿題が途中だった。
居間につくと
「この宿題、今日中に終らそうと思ったのに」
パソコンの前でつぶやき
(なんでこうなるかなー)
と思った。
宿題のほうは完全にあきらめた。
特に明日までということもなかったからだ。
パソコンをシャットダウンさせると再び部屋に戻った。
ネコの相手を押し付けられた兄貴は、もうめんどうそうな感じだった。
「やっぱダメ?」
「ああ。おまえネコまでひきこもりにするなよ」
「ウッ」
別にひきこもってくれと頼んだわけではないのだが、なにげに負い目を感じた。
(どうすっかなー)
とりあえず考えた。
(実力行使…)
考えては見たものの、実力行使はできることならしたくなかった。
場所が場所なため。
しばらくして飽きたのか、兄貴は居間に戻っていった。
兄貴がさったあとは、再び一対一のにらみ合いになった。
にらみ合いといっても、特ににらんでいるわけでもないが。
ただ出てってほしかった。とにかくもう眠い。
でも眠れない。何とか出て行ってもらわないと。
しばらくすると下で動きがあった。
人の声が聞こえてきた。
「本当に」
「ああ」
親父と近所に住んでいるいとこの声だ。
いとこが部屋に来た。
「まったく」
あきれた感じでいとこがネコに腕を出すと
ネコは唸るどころか抵抗もしないで抱きかかえられた。
「ごめんねー」
一言残し、猫を抱いて去っていった。
少しボーゼンとしてしまった。
どうやらいとこのネコだったようだ。
でも、あんなに大きかったか?
なんで家に入ってきたんだ?
て、なんで家のこと知ってたんだろ?一回もつれてきたことないのに。
さまざまなことを考えた。
考えてもしかたがないのだが…。
とりあえず居間にいった。
「ハァ…」
どうでもいいやという気分になった。
眠気もとんだし。
とりあえずあきらめたはずの宿題を再開した。
キリがいいところまで…。
余談
その後聞いた話だとそのネコは窓を開けることができるとのことだった