大学について

大学(文/理系)学部は通常3年制。
ただしアート系は、学部課程の前に1年間ファウンデーション・コース(準備コース)に入学するため1年長くなる。


☆大学入試について

シックスフォーム卒業の1年ぐらい前に、自分の成績のプロデクション(予測値)が出るので、その時点で、自分がどのレベルか、どこに入れそうか考える。

卒業時、希望する大学6校を選んで申し込み、面接を受ける。
面接官は、その人の考えや背景を聞き、潜在性を見る。
そしてある程度個人別に「Aレベル」の点数を少し甘く見てくれたりもするので、ときには成績がいい人の方が審査に落ちることもある。

日本人から見ると、合格基準がかなりいい加減に思え、面接官個人の権限が大きすぎるような気がするが、
“面接で落ちるということは、その大学とは考え方が合わないということだから、合わない大学にはいかなくていい。それに、不完全な人間が不完全な人間を選ぶんだから、間違いもあるのは当たり前。”
というのがイギリス人の考え方。


☆イギリスの大学について

日本のように、大学のレベルの差というのはない。
「この研究はあの大学が進んでいる」みたいな違いが出るのは、大学院になってから。大学の勉強については違いがない。

大学は3年間。一般教養課程はない。日本の大学院のような感じで専門性が強い。
だから、日本の大学と違って、つぶしがきかない。
リスクを減らすために、最近は副科専攻ができる、全部で2科専攻できる大学が広がってきている。

卒業時には試験を受ける。この卒業試験の評価が学生にとって一番重要なものである。
「エクスターナル・イグザム・システム」といって、
試験する学校、採点する学校が違う。そしてそれが毎年変わる。
外部評価なので、ケンブリッジの学生が取った50点と、ロンドン大学の学生が取った50点の価値は同じ。

卒業試験は、絶対評価で、1st,2nd upper,2nd lower,3rd,pass,failまでのレベルがある。
ロンドン大学の2ndはケンブリッジ大学でも2ndなので、どこの大学を卒業しても、社会の評価は変わらない。試験でどのレベルが取れたか、というのが問題にされる。その個人が優秀かどうかだけだ。
もちろん、名門のオックスフォード大学などは、優秀な生徒が多いので、90パーセント以上の生徒が1stだったりする。
2nd Lower以上でないと、大学院には行けない。3rd以下は、学校名に関係なく、大学で勉強をしていなかった証拠として捉えられ、すぐに就職もできない。恥ずかしくて履歴書にも書くことができないほどだ。
ちなみにイギリスでは名刺に、卒業試験の評価を書く人がたくさんいる。

このようなシステムなので、大学名は大事ではなく、勉強しやすいところでいい成績をとった方がいいという考え方になる。

 

☆大学に入る別ルート

義務教育終了後、3〜4年以上働くと、21歳から、社会人学生として大学に入ることが出来る。オックスフォードでもケンブリッジでも入ることができる。

好きなことが見つからなくて、何を勉強したらいいかわからない人は、
社会に出て自分の好きなことを探すことができる。

若者がいろいろな経験や好きなことをして、
自分のやりたいことを見つけることを社会が奨励している。

 

☆イギリスの大学の背景:

日本のように文部科学省の管理を受けていない。
なぜなら大学を認可する権限があるのは王室だから。
王室からもらう「ロイヤルチャーター(許可証)」には、大学の目的などを書いた、会社でいう「定款」のようなものがある。
国が口を出せないので、大学の独立性が強くなる。


日本の大学は全部文部科学省の一律管理であるが現在、それぞれの大学が特長を出し自活自営をするために、自由にやらせるための法人化が進んでいる。

イギリスの大学進学率は、現在35パーセントである。

 

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