春先に、コンパクトデジタルカメラを買った。最近は、どこか出歩く時に持っていって、好き勝手に撮るようになった。
写真を撮るようになって思うのは、人間の目の凄さだ。カメラでは、周りを見渡しているという風景は、まず撮れない。(パノラマ写真ならそれも可能かもしれないが。) 今自分が見ている風景を、自分で切り取るしかない。撮るもの、構図などをすべて、自分で選ばなければならないのである。
正直なところ、私はそういうのは苦手である。優柔不断だし、どうしても周りを気にしてしまったりする。なので、結果として風景写真ばかりになる。もっとも個人的には風景写真は好きだし、それはいいのだけれど。
…ところで、書いててふと思ったのは、写真は見ているものを切り取ったものであるけれど、でもそれは現実ではないんだな、ということだ。写真を見たからといって、想像はできるけれど、そこに行って感じるものとは違ってくる。また、写真を見て想像できるということは、現実から想像の世界に行けるということでもある。それは絵に似ている。
いくら選ぶのが怖いと言ったって、自分の目や心が他の人のものに取って代えられるわけじゃない。自分の目で見て、頭で判断して、指でシャッターを切るしかない。自分のことを再確認するという意味で、カメラを持ったというのは自分にとっていいことだったのかなと思う。
生きてる限り、目は、写真を撮り続けているのだから。