2007年6月27日(水)


異世界

 

まだ5月の晴れた日曜日の夕方だった。私は、どこかからの帰りで、電車に乗っていた。外からは、まだ夕焼けと呼ぶには早いほど、高くから太陽が電車の中を照り付けていた。

私は電車の中で座っていた。各駅停車に乗ってたのだが、たまたま空いていたようだ。左隣を見ると、若い男の人が眠っていた。自分のいる列と反対側の列の座席を見ても、電車の中で座っている人達は、寝ているか携帯をいじっているか、新聞を読んでいるかだった。

外に、いつものように屋根が見えた。いつまでも、果てしなく続いているように思える。そう、それがいつものこの電車の風景。

しかし、ふと思った。そういえば以前はこの光景は当たり前のものじゃなかったのだった。実家の路線は、東京みたいに待ってればすぐ次の列車が来るわけではなくて、1本逃せば次は30分か1時間後しか来ない。電車の中の光景は変わらないかもしれないが、広告だってそんなにはないし、何より外の光景が違う。たくさんの家並みが見えたとしてもそれはそんなに長い間ではなく、そのうち川や山や緑が見えるようになる。昔の自分から見れば、ここは充分異世界だった。始めて日本に来て電車に乗った外国人にすれば、やっぱり異世界だろう。

自分が当たり前に思っていても、そこは他の人にとっては異世界でもある。同じ場所だって、時が経てば、全く違う、変わった場所になるかもしれない。現に、1年前は良く使っていたある駅は、改装されて見違えるほどになった。

状況によって世界って変わるんだな、そんな風に思った。そうしてみると、今という時は大切なのかな、とも思える。

6月14日 「ダヴィンチとモネ」
5月31日 「似ていた状況」
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